**************************************************** ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第921回配信分2021年12月20日発行 2021年を振り返る 〜最後までコロナに振り回らされたこの1年〜 **************************************************** <はじめに> ・新型コロナウィルスに振り回された1年だった。何回も緊急事態宣言が発出 され、解除され、また発出されと、政府も国民も企業も本当に消耗した1年間 だった。振り返って、何がどうなったのかが、よく分からない。結局、最初か ら言われていたワクチン接種の普及が律速条件だったと思われる。ファイザー やモデルナといったメーカーの違いもいろいろと取り沙汰され、混乱に拍車を かけた感がある。副反応がより強く出て、特に2回目の接種のあと相当傷んだ 方も多かった。成岡の周囲にも、翌日お休みにした方もあった。倦怠感、発 熱、肩の痛みなど、人によって症状は異なったが、身体が異物に反応した結果 だから仕方ないと注射した友人のドクターは言った。その通りだが、初めての 体験だからマイナスのイメージが先行して、不安に拍車をかけることになっ た。 ・さて、今回は今年1年を振り返ってみようと思う。まずは、1月だが大きな 出来事は海の向こうのアメリカの大統領選挙だった。現職の共和党トランプ氏 と民主党のバイデン候補との一騎打ちだった。結果は僅差での民主党バイデン 氏の勝利となり、共和党から民主党への政権交代が行われた。トランプ時代に は、常に物議を醸しだした大統領だったが、交代にほっとした方も多かっただ ろう。破天荒な物言い、想定外の行動など、世界中がこのトランプ氏に振り回 された。バイデン氏は高齢で、大統領としては最高齢の大統領だそうだが、次 回の大統領選挙にも出馬するという噂もある。また、副大統領に初めて女性の 黒人出身の人が選ばれたのも話題になった。日本では、1月に首都圏の1都3 県に緊急事態宣言が発出され、またまた暗いムードになった。 ・2月になると医療従事者の方々からワクチン接種が始まった。国内はひっそ りと静まりかえり、ひたすらワクチン接種が浸透するのを待つのみという状況 になった。プロ野球はキャンプが始まったが異例の無観客でのキャンプイン だった。東京五輪の森会長(当時)の女性蔑視発言が物議を呼び、橋本聖子氏 に交代した。この騒動がきかっけになり、これ以降東京五輪、パラリンピック の開催に関して、開催が是か非かで議論が沸騰する。明るいニュースでは、大 坂なおみが2年ぶり2回目の全豪オープンテニスで優勝し、ガンの闘病生活か ら奇跡のリハビリを遂げた池江璃花子が競泳の公式戦で優勝した。暗い国内 ムードに、一筋の明るい話題を提供してくれたが、やはりコロナ禍での経済活 動は沈滞の一途を辿った。 <3月から5月> ・3月の11日は東日本大震災から10年。もう10年とも、まだ10年とも言える、 この10年間だった。復旧から復興に向けて、確実にハードは揃っては来たが、 以前と同じ普通の日常に戻ることはあり得ない。感染が一服し、緊急事態宣言 が一時的に解除された。ワクチン接種も医療従事者から介護施設などに徐々に 対象が拡大し始めた。遠い海の向こうでは、スエズ運河でコンテナ船が座礁し た。大したことはないと思っていたニュースだったが、意外や意外、スエズ運 河が通れなくなり多くのコンテナ船が海上に溢れたので、物流に大きな影響が 出た。昨年は中止になった甲子園の選抜野球が開催された。2月に起こった ミャンマー軍事政権のクーデターの弾圧が激化したのもこの頃だ。 ・4月に入りまたまた緊急事態宣言が発出された。このとき初めて蔓延防止等 重点措置が適用された。菅首相が渡米しバイデン大統領とホワイトハウスで初 会談したが、その後の国政選挙で3連敗し政権の継続に暗雲がたれこめる。同 じくアメリカのオーガスタでは松山英樹が日本人で初のマスターズメジャー制 覇を成し遂げるという快挙が報じられた。福島原発の処理水を海洋放出すると いう決定を政府が下し、大騒ぎになる。ホテルレジャー施設運営の株式会社東 京商事が業績不振から1,000億円以上の負債を抱え特別清算。令和最大の倒産 劇が起こる。競泳の日本選手権で復活した池江璃花子が4冠を達成し、多くの 人を勇気づけた。アメリカ軍がアフガンから撤収を開始し、最長に及んだ戦闘 が終結した。 ・5月。いつもならゴールデンウィークで多くの観光客が来る京都だが、9都 道府県に発出されていた緊急事態宣言が6月20日まで延長になり、みんな暗い 気持ちになる。閑散とした観光地の土産物店は悲鳴を上げた。経団連の中西会 長が体調不良を理由に辞任。のちに帰らぬ人となる。国会でデジタル法案が可 決され、いよいよデジタル国家へ踏み出す第一歩が始まった。大相撲は照ノ富 士が2場所連続優勝し、横綱昇進に大きく近づく。テニスの大坂なおみが全仏 で試合後の会見を心の健康無視から拒否し、大きな反響を呼ぶ。愛知県知事の リコールを巡る不正署名事件で事務局長らが捕まる。中東ではイスラエル軍が ガザ地区を空爆するが、のちにハマスと停戦協定を結ぶ。 <6月から8月> ・6月に入り、9都道府県に発出されていた緊急事態宣言が解除される。東京 五輪の開催を控え何が何でも解除しないといけない事態だった。千葉県で小学 生の列にトラックが突っ込む事故。原因が飲酒運転だったので、その後の規制 強化に結び付く。この頃になると多くの高齢者から始まり、職場接種が進む。 関西電力が40年を超える美浜原発を再稼働さす。ゴルフ全米女子オープンで笹 生優花選手が大会史上最年少記録で初優勝を遂げる快挙。 最高裁の判決で夫婦別姓を認めない判決が出る。がっかりした人も多かった。 国会では党首討論が2年ぶりに行われるが、中身のない議論に終始する。アメ リカとロシアの首脳が会談するが、物別れに終わる。 ・7月、とうとう東京五輪が無観客で開幕した。最後の最後まで観客を入れる か、入れないかで迷走した。無観客は苦渋の決断だった。静岡県熱海市で大規 模な土石流が発生し、多くの犠牲者が出る。上流に放置されていた盛り土が原 因となりその責任が追及されている。東京都に4度目の緊急事態宣言が発出さ れる。その中での都議選挙で自公は過半数に届かない結果になる。ヨーロッパ では異常とも言える大洪水が発生し多くの犠牲者が出る。中国でも大洪水が発 生する。大谷選手がアメリカのオールスターにおいて二刀流で出場し大きな話 題になる。白鵬が名古屋場所で45度目の優勝を果たす。原爆投下後に降った黒 い雨訴訟で国が上告せず判決が確定。補償の課題が残った。 ・8月。東京五輪が閉幕する。この間クラスターは発生せず、何とか閉幕を無 事に迎えられた。それに反して東京では連日5,000人の感染者が発生。その後 の感染拡大で緊急事態宣言が宮城県など8道県に拡大される。ワクチン接種を 希望する若者が全国の会場で行列をつくる。特に東京渋谷で若者が長い列を 作って接種を受ける映像は全国に流れた。春の選抜野球と同様に夏の甲子園全 国大会も開かれた。米軍のアフガニスタン撤退と呼応してタリバンが政権の実 権を握りときのアフガニスタン政府は崩壊し、世界中に衝撃が走った。東京五 輪の閉幕から時間をおいて、東京パラリンピックが開幕した。初めて近くで見 る障害者スポーツの祭典に、多くの感動をもらった。 <そして9月から11月> ・9月になり話題のデジタル庁が発足した。突然の菅首相の退陣表明があり、 後に自民党総裁選挙が行われ、岸田文雄氏が自民党新総裁に選出される。当時 19都道府県に発出されていた緊急事態宣言は、またまた感染者の拡大が止まら ない中で再延長される。逆に日経平均株価は一時3万円台になり、実態との乖 離に違和感が拡大する。中国がTPP加盟を申請すると宣言すれば、それに呼応 するかのように台湾がTPP加盟を宣言し、一層の対立軸が明確になる。大相撲 では照ノ富士が5度目の優勝を飾り、これに合わせるかのように横綱白鵬が引 退を表明。将棋の藤井聡太2冠が史上最年少で3冠になる。そして、多くの感 動を与えてくれた東京パラリンピックが閉幕し、2020東京オリパラ協奏曲が終 わった。 ・10月に入りようやく緊急事態宣言、蔓延防止措置が全面解除となる。菅内閣 が総辞職し、岸田新内閣が発足する。その後衆議院が解散し、月末に総選挙が 行われ自公政権が過半数を制する。中国で住宅バブルの象徴である恒大という 企業が破たん懸念となり株式の取引が全面停止になる。ガソリンが高騰し、同 時に石油系の原材料が値上がり。時短営業が各地で解除となるが、お客さんの 戻りは芳しくない。そんな中でも今年もノーベル物理学賞に日本人の受賞者が 出た。アメリカに在住の真鍋氏だった。ダークホース的な存在で、授賞理由を 聞いて改めて地球温暖化への認識を新たにした。プロ野球では日ハムの斎藤佑 樹と西部の松坂が現役を引退。ヤクルトとオリックスが共に前年最下位からの リーグ優勝を果たした。 ・11月。総選挙での結果を受けて第二次岸田内閣が発足し、同時に立憲民主党 も枝野代表が総選挙で議席を減らした責任をとり辞任。後任に泉健太氏が就任 する。イギリスのグラスゴーで開催されたCOP26会合では各国の意見がまとま らず異例の会期延長になる。月末には新型の変異株ウィルスの出現が確認され 入国制限が始まる。大谷翔平が満票で大リーグのMVPに選出され、将棋の藤井 聡太が史上最年少の将棋4冠を達成する。このように見てくると、本当に1年 間新型コロナウィルスに振り回された1年だった。昨年の1月からぼちぼち2 年の戦いに、みんな消耗している。ワクチン接種と飲み薬の普及で普通の風邪 と同じようになるのはいつの日だろうか。そこまでいかないと経済は戻らない だろう。 来年こそ、経済が戻り、いい年になることを祈るばかりだ。