**************************************************** ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第1150回配信分2026年05月11日発行 自分自身を変えるためのコツ 〜時間配分、住むところ、付き合う人を変える〜 **************************************************** <はじめに> ・経営コンサルタントで有名な大前研一氏。多くの著書があり、小職もいくつ かは読破した。その大前研一氏が述べた言葉が面白い。曰く、「人間が変わる 方法は3つしかない」と言っている。「時間配分を変える」、「住む場所を変 える」、「付き合う人を変える」。この3つの要素でしか人は変わらない、 と。今回は、この3つの変わるための要素を考えてみようと思う。なかなかで きそうでできないことばかりだ。その前に、「変わる」ことがいかに大事かと いうことを深く認識しておかないといけない。ダーウィンの有名な進化論に、 ご存じの「環境の変化に対応した種(生き物)しか生き残れない」とある。ま だ続きがある。「強い種が生き残れるわけではない。大きな種が生き残れるわ けではない。環境の変化に対応できた種だけが生き残れるのだと」。 ・多くの方がご存じだと思うこの名言、至言が、今ほど真実味をもって語られ る時代はないだろう。今回の中東戦争もそうだ。石油は無尽蔵に日本に入って くるものだと日本人には誤解と錯覚がある。よく見れば、ほとんどの日常生活 のベースは石油由来の製品に支えられている。ガソリンに始まり、食品、建築 物、交通機関、医療や介護、エネルギーなど、現代は石油とは切っても切れな い関係にある。一時、化石燃料は有限の資源だということで、枯渇するリスク が喧伝されたことがあった。このリスクがどうなったかは定かではないが、代 替資源の開発も進み、それに安心、慢心して日本は平和をむさぼっていたか。 しかし、今や中東戦争の影響でパニック寸前だ。政府がいくら心配ないと宣伝 しても、誰も信じていない。 ・現実にフィルムがなくなり、樹脂製品が枯渇し、建築資材の在庫が底をつ く。マンションやホテル、戸建て住宅の新築案件がストップする。スーパーに トマトは箱で入荷しても、店頭に並べるには、トレーとフィルムが要る。あら ゆる生活への影響は大きい。農産物の生産に欠かせない肥料、飼料の値上がり が激しい。いずれ、食料品の値上がりにつながる。次に、車の生産に支障が出 るだろう。ガソリンも近いうちに給油制限が公式に発表されるのではないか。 トラックの台数が制限されるかもしれない。海運の物流も制限を受ける。物資 が海外から入ってこなくなる。次の段階では、行動制限が発出されるか。これ ほどの大きな影響が、まさか現代で、中東の戦争で起こるとは思わなかった。 過去の省エネ技術の開発で凌いだ時代とは大きく違う。 <まず時間の配分を変える> ・変わることの大きな要素、第一番目は「時間配分を変える」ことだ。これは 日常生活の時間配分、仕事時間の時間配分、仕事以外の時間の時間配分、長い 目で見た人生の時間配分と、いくつかの切り口に分けられる。このメルマガを お読みいただいている読者の年齢にもよるが、人生100年の長い時間を20年ご とに区切るのがいいだろう。20歳くらいまでは勉強、勉学、体力を蓄積する期 間。次の20年は社会人として一番アグレッシブに動く、働く時間。結婚、子育 て、転勤、住まいなど、家庭生活も忙しい。必死に前を向いて走るしかない。 次の20年はキャリアの深化か転換。それまでのキャリアをさらに突き詰めるも よし、転向するのもよし、付け足すのもよし、とにかく何か変わる。60歳から の20年はそれまで蓄積したストックを開放し、社会に貢献する。 ・子育てから解放されたら、親を見取り、断捨離を決め込んでひとつずつ整理 しながら縮小する。最後の20年でうまく健康のまま終活を行い、なるべく迷惑 をかけないで最後を全うする。こういう大方針の下に、生活の時間配分を徐々 に変えていく。変えるためには準備、段取りが必要だ。今日思い立って、明日 から変えられない。時間配分を変えるには、幾分かの投資も要るだろう。全く 費用をかけずに行うことは難しい。20歳までは自分の資金で投資できないか ら、親や周囲からの援助が必要だ。次の20年でそれを返済し、ストックした資 産で次のフローが成り立つように工夫する。40歳からは次のキャリア形成に投 資がまた要るだろう。ここで時間と資金が投資できるかが勝負の分かれ道にな る。リスキリングというやつか。 ・しかし、現実にはなかなか難しい。想定外の事態が勃発する。結婚、子育て の最中にもいろいろなことが起こる。順調満帆に行くことは、まずない。子供 の教育問題は悩ましい。この時期と仕事が多忙な時期は重なる。子供が大学な どを卒業する時期になると、独立、結婚、出産などが次々に起こる。ほぼ同時 に双方の両親が高齢になり、介護などの大きなタスクが降りかかる。決めた時 間配分など、ないに等しい状態になるかもしれない。しかし、成り行きで漫然 と進むのと、基本路線があって現在は横道にそれていることが分かっているの とでは大きく違いがある。外れていると分かっていれば、いつか戻ればいい。 カーナビの様に違うルートを走っても、修正を教えてくれる。最初に目的地を 決めているから、違っていればすぐにわかる。 <新しい環境に積極的にアプローチする> ・住む場所を変えるのは、大仕事だ。特に日本では、住まいは終の棲家という 概念が強い。また、購入するとなると一生の買い物になる。20年から35年の長 期ローンを組むと、一生それに縛られる。欧米では、住まいを一生の間に10回 くらい変えるのが普通だという。子供の子育て環境、教育環境、仕事の環境、 両親の面倒を見るための環境など、多くの環境の変化に対応して住まいの環境 を臨機応変に変える。もともと、欧米人は狩猟民族だから、狩りのターゲット に対して移動しながら住むのが普通なのだ。だから、ある場所に定住するとい う発想は少ない。一方、日本人は農耕民族だから、農地に縛られコメ耕作が基 本だ。なので、同じ場所で長く生活を営み、それが村社会を形成する。定年ま で同じ会社にいるのと同じだ。 ・成岡は70歳を超えた現在まで、10回以上引っ越しをした。50歳を超えて会社 を設立してからも、5回以上本店登記を変えた。15年在籍した出版社でも、10 回以上の事務所の引っ越し、統合、分離、開設、撤退などを繰り返した。おか げで、プロの引っ越し屋さんより移転作業に関しては詳しい。一時期、冗談の けてこれでメシが食えないかと、真剣に考えたこともある。サカイ引越セン ターの作業が未熟な時代には、サカイ引越センターの社員に講義した経験もあ る。住まい、会社のどちらも引っ越し、移転をすると、その都度不要と思われ る機材、什器、家具、資料などを取捨選択して捨て、その分身軽になる。捨て ることでムダを認識し、重要なものしか残さない習性が身に着く。どうせ、ま た移転すると思うと、あまりモノを持たない。 ・住むところを変えると、生活パターンが大きく変わることが多い。その変化 をポジティブに受け入れないといけない。引っ越し、移転に対し、ワクワク感 がないといけない。東京へ単身赴任に赴いたときなどは、本当にワクワクし た。特に三度目の担任赴任で住まいが赤坂見附だったので、東京都心のど真ん 中だった。近くに、国会議事堂、永田町、霞が関、TBSテレビ、アメリカ大使 館など、日ごろTVニュースに出てくるその場所が目の前にあった。少しランニ ングすれば、国立競技場、神宮球場があり、地下鉄で少し行けば東京ドームが ある。休日の時間はあっという間に過ぎる。京都に住まいがあり、東京で仕事 するという、非常に贅沢な時間、空間を過ごした。この経験は大きかった。現 在、非常に役に立っている。 <代表者の気持ちのもちよう> ・最後に、「付き合う人を変える」というのが、一番難しい。時間や住まいを 変えるのは、自分の都合と意志でできるが、付き合う人を変えるのは相手があ ることだ。変えるためには、「場」に出て行かないといけない。初対面の人と 会うのが苦手という人も多い。以前からお付き合いがある人なら、気心もしれ ているし、気楽だ。付き合いが薄い人とは、どうしても会話がスムースに進ま ない。しかし、新しい場に遭遇したり、環境を変えたり、ビジネスを始めたり するきっかけは、ほとんどが「人」だ。その人に影響、感化されて新しいこと を始め、チャレンジすることが普通だ。自分で一歩踏み出すのは勇気が要る が、他人から背中を押してもらうと、一歩前に出やすい。後で振り返ると、あ の時、あの人と出会ったことで人生が変わったということは、よくある。 ・常に求めていないと、そういう出会いはない。積極的に自ら動き、ボールを 投げないと、相手は動かない。年齢が増し、経験を積むと、逆に新しい体験、 経験を嫌う傾向が強くなる。安定や、既知なことが心地よい。新しいことは、 ストレスになる。特に、新しい人との付き合いは、億劫に感じることが多くな る。面倒だと思ってしまう。そういう思考パターンに入ると、新しいことが生 まれなくなり、何も変わらなくなる。馬には乗ってみよ、牛には引かれてみ よ、人には会ってみよ、だ。既成概念や先入観がいけない。先に、こうだと決 めつけると、一歩前に出られない。考える前に、行動したほうがいい。やって みないと分からないことが多い。やってみて、今ひとつなら、そこで立ち止 まって考えればいい。最悪、やめればいい。 ・どうやって付き合う人を変えるかは、なかなか難しい。どんどん、そういう 場所に出ていく、出かけていく。費用も時間もかかる。情報の収集も必要だ。 既に経験、体験した人からのリコメンドも要る。変わるための3要素は、「時 間の使い方を変える」、「住むところを変える」、「付き合う人を変える」、 この3つだ。しかし、一番肝心なことがある。それは、自分自身が変わるとす ることだ。この意識を持つことが大事だ。だが、意識を持つだけでは、思い付 きと同じ。行動に移すことだ。小さな変化でもいい。昨日と今日を変えること だ。起きる時間、その後の過ごし方。引っ越しが無理なら事務所のレイアウ ト。新しいグループに入ってみる、などなど。心掛け次第でいかようにもなる はずだ。要するに、経営者、代表者の気持ちの持ち方の問題だ。